数日間の煌めきと感動を


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ロミオとジュリエット





少し時間が経ってしまったけれど、どうしてもこの気持ちを忘れたくはないから文章にして残しておこうと思います。




とにかく、東京大阪 全32公演、本当にお疲れ様でした。




キャストの皆さんが口を揃えて言うように、

このご時世に大千穐楽まで駆け抜けられたことは全くもって当たり前じゃなくて、奇跡のようなことなんだって。




道枝くんの初主演舞台、みずきちゃんの初舞台という特別ともいえるこの作品を幸せな形で締めくくることができて本当に良かった。




東京グローブ座では1度だけ観劇させてもらって、

正直こういった舞台を観たことがなかったから舞台の世界に入り込むということがいまいち出来なくて、初めて生で見る道枝くんは顔が綺麗だなあ、頑張ってるなあ、みずきちゃん可愛いなあ、くらいの陳腐な感想しか出てこなかった。




初めから物語に没頭して観られなかった自分が今となっては悔しくてたまらない。そこまでキャストの皆さんが魂を削って作り上げた作品を浅はかな視点からしか見れなかったことへの反省と後悔がものすごく押し寄せてる。




梅田芸術劇場はほぼ毎日入らせてもらったんだけれど、

ある公演から、突然ものすごくロミオとジュリエットという舞台そのものに目を向け始めて物語に惹き込まれるようになった。




舞台に惹き込まれるって、世界観に入りこむってこういう事なんだなって初めて知った。




可愛いロミオも情けないロミオも、断固とした意志を持った強いロミオも、全てあの舞台上に現れていた。本当にかっこよかった。この舞台でわたしなんかには計り知れない努力も重圧も覚悟も全部背負ってて、でもそれこそが道枝くんが大きくなっていく確かな足跡で。その瞬間をこの目に焼き付けられたことが本当に嬉しくてならなかった。




舞台の前半がコミカルな喜劇に近かったからこそ余計に後半の、悲嘆な運命に立ち向かうロミオとジュリエットの強さや儚さ、大きな壁に阻まれて2人が幸せに生きていくには脆すぎる未来にどうしようもなく胸を締め付けられて。


そこに居るのは道枝くんじゃなくてロミオだってみんなが言う意味がやっと分かった。




佇まいも何もかも堂々としてて、座長としての責任を一身に背負って演技に向き合う一人の立派な俳優がそこにはいた。




特に最後の、壮絶な愛によって互いに非業の死を遂げてしまうシーン。若さゆえの衝動的な行動だけれど、愛のためなら死すらも厭わない痛いほどの情熱をひしひしと感じられて、とんでもなく惹き込まれ胸を握りつぶされたように感じ、苦しくなった。


どんな言葉を使ってもあの世界に生きる2人を表す言葉としては浅はかになってしまうのが悔しい。




カテコのダンスシーン、あの場面が好きじゃない人なんていないと思うけど、どう考えてもあの瞬間はロミオという役に加えて、責任とプレッシャーを乗り越え達成感に満ち溢れたキラッキラのオーラを放つアイドル 道枝駿佑がいた。思い出しただけでも涙が出そう、楽しそうに踊る道枝くんがこんなに輝いているなんて。




あの音楽を思い浮かべるだけであのときの高揚感も心を踊らせる空気感も全部思い出して込み上げる感情が止まらない。ただただかっこよかった。それは単に顔がかっこいいとかそんな狭い世界のことではなくって、ロミオという役を全うしお客さんを楽しませ、なおかつ道枝くん自身の楽しそうにする姿が本当に眩しくて忘れられない。




失礼ながら舞台をやるにあたって正直、大丈夫なのかな?って思う気持ちがないこともなかったんだけれど、確実に回数を重ねる毎に良くなっていくお芝居と、キラキラと眩いオーラを放つ道枝くんから全く目が離せないし、離させてくれなかった。衣装や装飾なんかじゃなくって、人が内側から煌めきを放つってこういうことなんだろうなと身に染みて感じた。




千穐楽

もうこのロミオとジュリエットを観ることは出来ないんだなって思ったらどのシーンも大切で愛おしくて。時が進むのが早すぎて悔しさすら感じた。だけど、道枝くんの将来に大きな財産となるに違いないこの舞台が無事に大千穐楽まで迎えられて本当に良かったという気持ちで心は常にいっぱいだった。




千穐楽でのディボルトを殺してしまった後の「俺は運命の慰みものだ〜!」という台詞。


今までで1番感情がダイレクトに伝わってきて心が震えた。感動なんて一言で片付けたくないくらい、心を掴まれるとはこういうことなんだって。上から目線で申し訳ないけれど、こうやって演技は研ぎ澄まされていくんだって目の前で痛いほど思い知らされて泣きたくなった。




あとは、愛を交わし合うロミオとジュリエットが別れる明け方のシーン。物語としての辛さももちろんあったけれど、もう二度と心を通わせ合う生きた2人を見ることができないのか、なんて思うと苦しくて苦しくて。けれどそのことを知らないロミオとジュリエットは幸せな未来を信じて清く美しく生きていて。涙が止まらなかった。







どのシーンを切り取ったって道枝くんの演技もみずきちゃんの演技もとっても素晴らしかった。真摯に役に向き合い魂を削って声を枯らして作り上げた舞台の、2人が何度も何度も唱えた言葉が、わたしの頭の中にも幾度となく蘇って。ああ本当に良い舞台だったなあと想起する瞬間すら愛おしい。




ロミオとジュリエットの舞台に思いを馳せて1番初めに思い浮かぶのは、パリス伯爵との結婚を言い渡されたジュリエットの嘆きだったりバルコニーでロミオに情熱的に愛を伝えるジュリエットだったり、どうしても大千穐楽の時のみずきちゃんの演技や台詞が初めに思い出される。




それくらいみずきちゃんの演技に魅了されてたんだろうなあと今になって思う。ジュリエットの台詞とその姿がどうしても頭から離れない。

 


感情的なシーンが多かったものの、恋する乙女の可愛らしい仕草も、免れ得ない運命に嘆き悲しむ悲嘆な姿も、強さも儚さも全部全部みずきちゃんの内側から溢れ出すジュリエットそのものだった。またみずきちゃんの舞台を観にいきたいなあ。




千穐楽の日は見学席が近かったのだけれど、見学席を見る余裕なんて全くないくらい、カーテンコールのダンスシーンからずっとずっと涙が止まらなかった。もうこのロミオは観れないんだという寂しさと、やりきった清々しい面持ちをした道枝くんへの賛辞と、大好きの記憶しか詰まっていないその音楽でバカみたいに泣いた。挨拶が終わっても、規制退場の時間になっても、枯れるほど涙でぐしゃぐしゃだった。



それでも今になって、音楽に記憶が宿るって本当にあるんだと思い知らされたなあ。あのキラキラと輝きを放つダンスシーンのメロディーはもちろん、ロミオが陰から覗きながらパリス伯爵とジュリエットがダンスを踊っていたあのメロディーも、開演前に会場内に流れていた同じメロディーのBGMも。



全部全部あの舞台の記憶を呼び起こす引き金となって、思い出すだけで胸がキューっとなってもう二度と会えないロミオに思いを馳せてしまう。それくらい強い思い入れを持っちゃった自分に少し笑えてくるほど。それも全部思い出だね。



そうして最後の挨拶も座長として力強く、なおかつちょっぴりみんなに笑われてしまう大好きな道枝くんがいた。キャストの皆さんに愛されてるのがよく分かってわたしまで嬉しかった。本当にお疲れ様でした。









この新鮮な気持ちはずっと胸の奥でそっとしまっておきたい。思い出や感傷に浸ろうとすると胸が苦しくなるこの感覚を忘れたくないな。




こんな風に文章を綴りながら既に涙が込み上げそうになっているんだけど、大切な思い出ってこういうことなんだなあ、と。




わたしの目の前に形としては残らないけれど、ああ楽しかった、良い舞台だった、道枝くんはロミオとして生きていたしみずきちゃんはジュリエットとして生きていた、本当に頑張っていた。




そうやって思い出すだけで懸命に今を生きる活力が湧いてくる。心が豊かになるってこういうことなんだなって。いつまでもこの世界に浸って夢を見続けていたいところではあるけれど、十分休んで次のお仕事も頑張ってほしいな。




本当に本当にかっこよかった、座長としての覚悟を背負った大きな背中は誰よりも強くて立派だった。そしてみんなに愛される道枝くんが誇りだよ!2人ともお疲れ様でした!




初めて観た外部舞台、わたしとしても得るものが大きすぎた。新しい世界を見せてくれてありがとう。日々を彩る幸せな体験をありがとう。





ずっとずっとあの感動と歓喜が胸の中で生き続けてほしいと切に願いながら。




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